枯れ葉と緑の葉では分解速度が異なる。
   これははに含まれる養分の差、水分の差、細胞壁を構成する、
   セルロース、ヘミセルロースなどの堅牢さの違いのよる。
   若い葉は、細胞壁が脆弱だから、微生物の侵入、分解が簡単である。

   植物の種類によって、細胞壁の大きな差がある。
   それで、枯れ落ち葉でも、植物間で大きな差が生まれる。

  腐葉土、緑肥に使う場合、この細胞壁の違いから選定することになる。
この講座では「枯れ落ち葉」と頻繁に記してきた。
その理由は、緑の葉と枯れ落ち葉は異なるからである。

有機農法、EM菌農法ではでいう有機物は「枯れ葉」「枯れ落ち葉」ではない。
有機農法で畑に鋤きこむのは、生育中の緑の葉、茎である。
自然界では、緑の葉、茎が土壌に鋤きこまれることはない。
水害とか土砂崩れでもない限り・・・。
有機農法では、生育途中の植物を刈り取り・・・土壌に埋める。
これを微生物が分解するというもの。
この微生物は好気性菌であるラン菌の材木腐朽菌ではない。
酵母菌、乳酸菌などの窒素が多い状態で繁殖する嫌気性菌である。
醗酵、腐敗する菌である。
だから土中に埋めたり、堆積する。 だから堆肥と呼ぶ。

EM菌は・・・家庭ゴミを短時間に腐植させるというので使用される場合があるが、
家庭から出る生ゴミは野菜クズなどが多いから、前記の緑の葉と同じである。
家庭の野菜クズは「枯れ葉」ではないから、この場合の微生物は材木腐朽菌ではない。
前記したように醗酵、腐敗する嫌気性菌である。
これに光合成細菌などがミックスされているようであるが、
醗酵、腐敗するから・・・醗酵熱が出る。

枯れ落ち葉を堆積しても、ほとんどは醗酵熱が出ない。
それは、枯れ葉には窒素がないから前記の嫌気性の菌が繁殖出来ないためである。
それで、枯れ葉を堆肥にしたり腐葉土にして腐植化するためには、これに窒素を投与しなければならない。
問題は、この投与する窒素である!
家庭ゴミには窒素の多いものもあるから、これを継続して畑に入れれば、
非常に硝酸態窒素の多い土壌ができることになる。
病気が出やすい土壌になる。
継続して、菌のエサになる有機物を与え続ける必要がある。
なぜなら、植物の共生菌ではないからである。
自然界にあるのは「枯れ落ち葉」である。
地球上の90%近い植物は、この枯れ落ち葉の中に自生する。
生ゴミと枯れ落ち葉の違いを深く理解すると、
現在のラン栽培が水ゴケ、バーク、軽石を使用していることが、
いかに自然から乖離したコンポストであるか理解出来よう。
そこには材木腐朽菌が棲息しないからである。

緑肥・・・。
特に一年草では芽生え、光合成して次第に大きくなり、
花を咲かせることになるが、このとき、葉には最も多くの養分が含有している。
農業では、畑を肥沃な土壌にするために、しばしば、マメ科植物、イネ科植物を、
開花時期に刈り取り土壌に鋤きこむことが行われる。
この葉には、光合成で作られた澱粉と、澱粉から作られた蛋白質などの
窒素を多く含んだ成分が含有している。
特に空中窒素を固定するマメ科植物では、多くの窒素を含んだ葉になっている。
これを土に鋤きこむと、材木腐朽菌ではなく、酵母菌、乳酸菌などが繁殖し、
短時間で分解する。
この理屈が、近頃家庭ゴミをEM菌で堆肥化することに利用されている。
これは、この講座で取上げている炭素循環ではなく、窒素循環である。
それで、この青刈りの葉を、農業では特に「緑肥」という。


なぜここで緑肥の窒素循環を記したかというと、
宇井清太の大失敗があったからである。
生油粕をEM菌でボカシを作ってCymbidiumに施した。
これで素晴らしい生育をすると思ったのである。
ところが・・・・1000坪、30000株のCymbidiumが全滅した。
根腐れ!
宇井清太も10数年前、ランが菌根植物であることを忘れていた!
共生する菌の種類が違うことに気付かなかったのである。

植物の進化は奥が深い。

アブラナ科植物では、このEM菌で良く育つ。
家庭ゴミのボカシ堆肥でも良く育つ。
ダイコンもキャベツも良く生育する。
なぜか????
アブラナ科植物は「炭素循環」で生きる植物でないからである。
赤カブ。
焼畑に種を蒔いて作る。
枯れ落ち葉を焼いた畑でよく生育する。
桜島ダイコン。
火山灰の畑に・・・・液肥を施して作る。

植物の進化も多様である!

軽石に寒蘭を植えて液肥を施すというのは・・・・・
ダイコン作りと一緒である。
ダイコンが良く育つから、ランも一緒ということではないのである。
そこにはランが菌根植物であることが忘れられている。
軽石には材木腐朽菌がいない。
ラン菌の材木腐朽菌が生息するには、枯れ落ち葉が、植物の死骸がなければならない。
だから、ランが自生しているところには必ず枯れ落ち葉がある。
しかも、毎年新しい枯れ落ち葉が生まれ、堆積する。
こういう状態では、ランが生きるためのエネルギーが最低限保証されている。
ところが、水ゴケ、バーク、軽石には、枯れ落ち葉がないから、
ランに必要な糖、糖質のエネルギー源が全然保証されていない。


有機物由来の液肥。
ランを菌根植物と考えていない肥料である。
一般の植物用であって、ラン専用ではない。
ラン専用の菌根専用の肥料開発は・・・・先の先なのかも知れない。
もっとも、SUGOI-ne栽培では、そのような肥料はひつようないが・・・。
現在市販されている有機物由来の肥料は、ほとんど・・・・
これは前記の「緑肥」と同じで、蛋白質などの醗酵、腐敗で作られたもので、
窒素循環由来のものである。
硝酸態窒素を含むことになる。

だから効く!
だから怖い・・・・ナンプ病が!



この硝酸という窒素。
火薬になる。
戦国時代、前田藩は夏に雑草を刈り積んで、これに人糞尿をかけて醗酵させ、
硝石を生産した。これを諸国に売って財政を豊にした。
関ケ原の戦いの鉄砲の火薬は・・・前田藩で緑肥から生産した硝石である。
ナポレオンが使った火薬。
パリ郊外に硝石の丘が作られた。
これも前田藩で作ったと同じ方法で・・・・草をかつて積み上げ・・・人糞尿の窒素から硝石を作った。
硝酸植物は、葉に硝酸を蓄積する。
戦争は何時の時代も・・・発明させる!
チリ硝石。
チリの海鳥の糞。


園芸で使われる液肥。
硝酸態窒素。
ラン栽培には、相当注意して使う必要がある。
ランの自生地には、スコールがもたらす尿素由来の僅かな硝酸態窒素あるだけである。
枯れ落ち葉には、ほとんど窒素が含んでいないからである。
ランの自生地には「緑肥」はない!

枯れ落ち葉と緑の葉は・・・・
       同じ葉でも別物である
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